こんにちは!あすかホームケアクリニックの黒木です。
今日は軽度認知症、「MCI」についてです。
現在、65歳以上の約16%が認知症であると推計されており、「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」の推計では、2025年には約675万人(有病率18.5%)と5.4人に1人程度が認知症になると予測されており、深刻な社会問題となっています。
また、最近は認知症の前段階であるMild Cognitive Impairment (MCI)という概念も注目されています。簡単にいうと、正常でもないが認知症でもない状態で、軽度認知機能の低下はあるものの日常生活には影響のない状態のことです。高齢化率も高くなっている本邦ではMCIの方も数多くいると考えられますが、MCIの時期に何もせずに過ごしていると、1年で10%、4年で40%が認知症に移行すると報告されています。しかしMCIの時期では、「30%は健常に戻る」可能性があることも分っています。適切な予防に取り組めば、より高い確率で健常に回復するという報告もあります。また、早期であればあるほど健常に回復しやすいとも考えられています。(日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」)
MCIの初期症状としては、
- 何度も同じことを尋ねる
- 物の名前が出にくくなった
- 注意力が低下した
- 仕事にミスが増え、支障がでるようになった
- 約束を忘れてしまうことが増えた
- 意欲が低下して、趣味や外出に消極的になった
- 突然電車の乗り継ぎがわからなくなったり、道に迷うなどの経験をした
- 物を探し回ることが増えた
- 整理整頓が難しくなり、部屋が散らかるようになった
- 料理の味付けが以前と変わった
- 決まった料理ばかり作るようになった
- 賞味期限切れの食べ物が増えた
などの症状があげられますが、中には個人の元々の性格や得手不得手などもあるため評価には注意が必要です。
抗認知症薬については、これまでにも多くの研究がされてきており、「ドネペジル」「リバスチグミン」「ガランタミン」「メマンチン」の主に4種類のお薬が使用されてきていましたが、いずれも認知症が明らかになってから使用するお薬で、根本的な解決は難しい状況でした。
今回登場した「レカネマブ」は疾患修飾薬という新しい視点から、早期の段階で認知症の進行を予防するお薬になります。同様の作用機序の「ドナネマブ」というお薬も登場しています。これらのお薬は、「アルツハイマー病の原因に働きかける世界ではじめての治療薬」として大きな期待が寄せられています。
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Christopher H. van Dyck, et al., Lecanemab in Early Alzheimer’s Disease, N Engl J Med 2023; 388:9-21
少しずつ広がってきているこれらのお薬ですが、あすかホームケアクリニックでは、日本国内ではじめて、在宅でのレカネマブの投与を行いました!現在も在宅でこのお薬を継続している患者さんはあまりいらっしゃらないですが、「足腰が悪く通院が困難でも認知面は元気に保ちたい」などのニーズもあり、当院では積極的に受け入れを行っています。
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超高齢化社会となっている時代に訪問診療でも早期発見・早期治療を行って積極的に地域に貢献できればよいなと思っています。
気になることなどあればいつでもご相談くださいね!
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