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 訪問看護師さんと同行

普段は歯科衛生士として在宅におけるお口の管理をさせて頂いてます。

一緒に働いていてもなかなか訪問看護師さんの仕事を見る機会がない中で
先日、念願かない看護師さんと同行する事が出来ました。

写真は日常の仕事風景となります
(写真は日常の仕事風景となります)

まずはバイタルチェックから始まりお風呂の介助の様子、摘便の様子まで見ることができました。
お風呂も湯舟に浸かりながら洗髪され患者さんは気持ちよさそうに入浴をしていらしゃる様子、そして驚いたのが摘便!(摘便は想像はしていましたが)
お腹の張りを見て便がたまっていることを確認されるとあっという間に出るわ出るわで摘便が終了されて患者さんもすっきりされていました。

何でもさらりとこなす看護師の的確さにすごいとしか言いようがありません。

教科書上だけでは分かりえない貴重な経験をさせて頂きました。
これからもみんな協力しお互い関わりながら在宅で過ごす患者さんの手助けができたらと思いました。

 健康情報誌「健康と良い友だち」2020年9月号表紙に川口ドクターのインタビュー記事が掲載されました

ひとりでも多くの方に、正しくて、わかりやすい健康情報をお伝えするために、毎月発刊している健康情報誌「健康と良い友だち」。
専門医が多数在籍する鳳優会から川口ドクターが取材を受けました。2020年09月号にインタビュー記事が掲載されていますので、お知らせさせていただきます。

本記事や健康情報誌にご興味のある方は発刊元ホームページもチェックください。
健康と良い友だち

 第36夜 がん終末期や他の疾患終末期の気道分泌に伴う呼吸困難について

川口です。

むし暑い季節になってきました。
今回はがん終末期や他の疾患終末期の気道分泌に伴う呼吸困難についてです。
お亡くなりになる数日~数時間前に喉の付近でゴロゴロと音がすることがあります。死前喘鳴(Death rattle)と呼ばれます。
意識レベルの低下に伴い唾液や痰が声帯付近に貯留し喘ぐような声が出て常にゴロゴロと音がします。
吸引をしても完全に取りきれる事は難しいです。
介護している御家族は大丈夫かな?苦しくないのかな?と思うはずです。
「無理ない程度に口の中だけを吸引しましょう、口腔内スポンジブラシで口の中に貯まっている唾液をふき取りましょう」と我々は御家族に説明します。

☆大切なのは介護者である御家族の不安を取り除いて穏やかで静かな最期を迎える環境を整えてあげる事です!☆

「ゴロゴロと音がしてつらそうな表情をしています」「ゴロゴロという音がつらそうです」と言う御家族は多いです。

実際の症例です。

~症例~
60歳 男性
大腸がん 多発肺転移
疼痛コントロールはモルヒネ塩酸塩の持続点滴で対応
高カロリー点滴(30ml/時)を行っている
意識レベルも低下しお看取りは近づいている
御家族より「呼吸の度にゴロゴロという音がして不安です」とコール
常にゴロゴロと音がして不安で御家族が夜寝れない状況でした

点滴量の見直し
点滴量を30→20ml/時(もしくは10ml/時)に減量
1日量で500ml以下にする事も大切です
抗コリン薬の使用
気道壁には副交感神経に支配されているムスカリン受容体が存在しM1、M2、M3のサブタイプが気道に関連しています。M3受容体に対するアセチルコリンの結合阻害により気管支収縮を抑制、M1およびM3への結合阻害により気道分泌を抑制します。
私はクリニックに置いている薬剤でブスコパンを使います
この症例では高カロリー点滴の中にブスコパンを20㎎混注し持続点滴しました。
点滴をしていない症例では生理食塩水500mlにブスコパンを混注し持続悲観的を行うこともあります。
ブスコパン20㎎で開始して落ち着けば20㎎で維持しますが状況により40㎎まで増やす事もあります。

本症例では点滴量の見直しとブスコパン20㎎の持続点滴でゴロゴロは軽減、消失し穏やかな最期を迎える事ができました。

こういった状況ではまず連日往診をすることが多く、上記の処置以外に時間をかけて御家族のケアもすることが大切と思います。

今回はここまでです。
最近、自重トレーニングでは物足りなさを感じてトレーニングチューブを買ってパンプアップさせています。
その成果を写真でお見せしちゃいましょう!

 「もの忘れカフェ」当面中止のお知らせ

新型コロナウィルス感染拡大防止のため、当面の間中止することとなりました。

 次回開催日が確定次第、ウェブサイト及び昭和大学病院附属東病院の掲示板にてご案内いたします。

ご理解のほど何卒宜しくお願い致します。

 新型コロナウイルス感染予防策へのご協力のお願い

令和2年4月3日
患者様およびご家族の皆様
医療法人社団鳳優会
荏原ホームケアクリニック
感染対策委員長 添田聖子
理事長 藤元流八郎

新型コロナウイルス感染予防策へのご協力のお願い

日頃より、当院訪問診療におきまして大変お世話になっております。
さて、当法人では、今般の新型コロナウイルス感染拡大に伴いまして感染対策を強化しております。
患者さまの安全を守るために、診察時における感染防止策の徹底をしてまいります。
お手数をおかけしますが、ご理解とご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

  1. 診察前に、手を洗わせていただきます
    ~ご面倒をおかけしますが、ご自宅の洗面所をかしていただけますと幸いです~
  2. 診察にあたる医師は、常時マスクを着用します
    ~マスクをはずす行為(飲食など)は、ご遠慮させていただいております~
  3. 診察は可能な限り、短時間で行わせていただきます
    ~診察時に説明が不十分となった点につきましては、電話で対応させていただきます~
  4. 患者さま又は同居の方が、発熱が続いたり体調がすぐれないときには、お早めに当院へご一報ください
    ~医師が、防護具の着用を要すると判断した際には、マスク、ガウン、ゴーグル、キャップ等を着用し、入室させていただきます~
  5. 患者さま、同居者、または関係者(ご家族の職場や学校など)におきまして、新型コロナウイルスの感染者または濃厚接触者が発生した際は、判明した時点でお早目に、当院までご一報ください
    ~診察時に、適切な防護具を着用の上、入室させていただきます~
【連絡先】荏原ホームケアクリニック
電話:03-5788-6088

 訪問の合間、地域のお花に目が留まりました

皆さま、こんにちは。
今年も春の陽気を感じられるようになりました。

訪問の合間、地域のお花に目が留まりました🌺
植物たちの季節もちゃんと巡っていますね♬
不安なニュースも多いこの頃ですが、負けずに皆で乗り越えましょう!!

 第35夜 腹膜播種(ふくまくはしゅ)について

川口です。

今回は腹膜播種(ふくまくはしゅ)についてです。
お腹は腹膜と呼ばれる幕が袋状になっていて、その中に胃、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓、脾臓などの臓器が入っています。袋の中にある臓器を腹腔内臓器と呼びます。

がんが臓器の壁を破って腹膜に広がる事を腹膜播種といいます。
腹膜播種は初期段階の場合、症状が現れない事がありますが進行すると腹水貯留、腸閉塞、腸閉塞による吐き気・嘔吐、痛み、肝胆道系に障害が起きて黄疸など様々な症状が出現します。
実際の症例をもとにどのようにして腹膜播種の症状を緩和するかを説明します。

~症例~
60才 女性
卵巣がん 腹膜播種 肺転移 腹水 高カロリー点滴
腹膜播種、腸閉塞による持続する吐き気、嘔吐があり内服はほぼできない
腹水貯留による腹部膨満感、腹部痛がある
肺転移による呼吸苦がある

アイスクリームを食べたいという希望がある
吐き気、嘔吐に対してドンペリドン座薬を使用しているが効果ない
腹部痛はカロナール座薬にて軽減している

苦痛となっている症状が多数あります。持続する吐き気、嘔吐が一番つらいと訴えています。

1、高カロリー点滴の減量(60ml/時から35ml/時)
本症例では浮腫、腹水があり過剰な輸液は苦痛につながります。過剰な輸液は消化管分泌亢進となり症状緩和困難となる事があります。
2、点滴内にヒスタミンH2受容体拮抗薬かプロトンポンプ阻害薬を混注
胃酸の分泌を抑制し間接的に消化管閉塞による吐き気、嘔吐を軽減する目的で行います。私は主にガスター40㎎を混注します。
3、ステロイドの投与
消化管閉塞に対して腫瘍や周囲の炎症性浮腫軽減効果により閉塞が緩和され、閉塞による症状の軽減につながると考えられています。
抗炎症作用によりがん性腹膜炎に付随する炎症が抑制され腹水緩和につながる事があります。
私は主にベタメタゾン(リンデロン)を8㎎/日で開始して効果の維持できる最小量まで減らしていきます。4㎎/日で維持する事が多いです。
4、オクトレオチド(サンドスタチン)の投与
消化管における消化液の分泌抑制、水・電解質の吸収促進作用があり消化管閉塞時の吐き気、嘔吐を軽減させる事が期待できます。
1日あたり約300μgを点滴投与します。
ステロイド、アミノ酸製剤、高カロリー輸液などとの混合で効果が減弱されるので注意が必要です。

5、オピオイドの投与
高カロリー点滴の際の輸液ポンプ、オピオイド持続点滴で使用するCADDポンプ、さらにオクトレオチド持続点滴で使用するポンプとなると機械だらけになってしまい、それだけで患者さんと御家族に精神的苦痛を与えかねません。
そこで私はオピオイドとオクトレオチドを混合し濃度、流量を調整しCADDポンプで同時に投与する事が多いです。

ちなみに本症例の患者さんはオクトレオチド、ステロイドの投与により持続する吐き気、嘔吐が消失し氷から経口摂取を開始し氷菓子、アイスクリーム、オニオンスープ、具なしの茶わん蒸しなど摂取できました。アイスクリーム以外の物を摂取出来て幸せとおっしゃっていました。

苦痛緩和が最優先ですが、私は患者さんの希望を可能であれば何か一つでも叶えてあげる事が在宅がん緩和で大切な事と思っています。

今回はここまでです。
写真は実際に使用したCADDポンプの点滴内容です。

 3月の「もの忘れカフェ」中止のお知らせ

東京都内において新型コロナウイルスの感染者が複数確認されています。
今後、感染が拡大する可能性があることから、3月の「もの忘れカフェ」の開催を中止します。


ご理解のほど何卒宜しくお願い致します。

 品川福祉カレッジ・医療知識専門講座のご報告

毎年品川区主催で、区の医療・介護職を対象に行われている
「品川福祉カレッジ 医療知識専門講座」が今年も開催されました。(令和2年2月17日開催)

「高齢期に多い疾病の理解・脳血管疾患」と題し、
医療法人社団 鳳優会・荏原ホームケアクリニック、脳神経内科センター長・大中ドクターが講師を勤めました。

高齢者の増加と共に年々増え続ける脳卒中患者。
要介護5の患者がおおく“脳卒中は健康寿命の最大の敵”といわれています。

脳血管疾患について、また原因となる疾患の基本などをまとめてご説明いただきました。
地域関係者様に意義ある講演であったかと思います。

個人的には時折入る本題とは関係のない余談も興味深いものでした。

ありがとうございました。