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 サルサの話 3

週末、サルサの無料イベントがあるというので、クリニックの職員(サルサ未経験)を連れて行ってきました。

屋外ということで天気が心配でしたが、雨も夕方にはあがり、
予定通り開催されて何よりでした。
屋外で踊るのも開放的で良いものですね。

踊りなれている人も、そうでない人も、みんな楽しそうでした。
職員のI嬢も、初めてにもかかわらず、何曲も踊られ楽しまれていた。
ようで何よりです。

ちなみにI嬢は日本の打楽器や唄もいそしまれているとのこと。
サルサも初めてとは思えないものでした。

屋台も出ていました。

結構盛り上がっていましたよ。

9月にもまた、催されるようですよ。
興味のある方は、大手町 サルサ で検索してみてください。

 第32夜 ヒドロモルフォン(強オピオイド)について

川口です。

夏と言えば筋トレですね!
薄着になり訪問診療の際に御家族から「先生、体を鍛えているんですね」と言われてテンションが上がる今日この頃です。

今回はヒドロモルフォンという強オピオイドについてです。

徐放性製剤のナルサス
即放性製剤のナルラピド…レスキュー製剤です
注射製剤のナルベイン

上記の3種類があります。
ナルサスには2㎎、6㎎、12㎎、24㎎の4つがあります。
ナルラピドには1㎎、2㎎、4㎎の3つがあります。
ナルベイン注には2㎎/1ml、20㎎/2mlの2つがあります。

Q:ヒドロモルフォンはどんな薬?

モルヒネと構造的に似ていて鎮痛効果はモルヒネやオキシコドンと同等と言われています。
☆ヒドロモルフォンは同用量のモルヒネ経口薬の約5倍の効果があります☆
つまり…
MSコンチン10㎎を朝1錠、夕1錠内服していて計20㎎であればナルサス4㎎と同等となります。

Q:どのような利点があるのでしょうか?

  • ナルサスは1日1回の内服で済みます。内服負担が少なくなります。
  • オピオイドを少ない量から開始できます。
  • 経口モルヒネで使用する場合20㎎/日が最低量になります。
  • MSコンチン10㎎ 2錠 分2 朝、昼
  • ナルサスは2㎎(経口モルヒネ10㎎換算)があります。
  • ・腎機能障害時の傾眠・せん妄などの副作用がモルヒネより軽度、オキシコドンと同等です。

ナルサス、ナルラピドが内服できなくなった場合、今までは他の薬剤(座薬、貼布薬、注射製剤)で対応するしかありませんでしたが…
☆ナルベインが在宅でも使用できるようになりました!☆
ナルベインはナルサス(内服)の約1/5に相当します。
モルヒネ注の約1/8、オキシコドン注の約1/10に相当します。

Q:どのような利点があるのでしょうか?

  • ・同じオピオイドで内服から注射剤への切り替えが可能。
  • ・持続点滴で高用量のオピオイドが使用できる。
  • 例えば高用量のモルヒネ注射を行う事で皮下点滴部の発赤が強くなる、硬結が出現するなどあればナルベインに変更してみるという選択肢があります。
  • ・ヒドロモルフォンはオキシコドンより薬物相互作用が少ないです。
  • 様々な疾患を抱えているケースでは多種の薬剤を使用している事が多く、薬物相互作用が少ないヒドロモルフォンのようなオピオイドは使用しやすいという利点もあります。

今回はここまでにしましょう。
いつか筋トレについて勉強部屋で取り上げたいところです。

 

 昭和大学・在宅実習ご報告

昭和大学の学生さんが、2週間の在宅実習を行いました。当グループの在宅実習は、訪問診療、訪問歯科、訪問看護、および、連携する薬局さんをローテーションしながら行います。

在宅医療の概要をつかむこと、各部門で働く人々と患者さんの関わりを知ることも目的としています。

議論の様子

最後は学んだことをスライド発表。みんな遅くまで白熱した議論を交わしながら勉強しておりました。最近の医療系学生さんは本当に優秀でまじめです!

“最後に打ち上げでもするかい?”

と聞いたら、

“研究室に戻るのでまた今度お願いします“ と、言われてしましました(-_-;)

医師、実習生、患者さんご家族との様子

医療法人社団鳳優会グループでは、連携する大学や病院からの研修医、学生さんの他、広く在宅医療実習を受け入れております。ご興味ある方はお気軽にご連絡ください。

 第31夜 骨転移の症例

川口です。

過ごしやすい季節ですね。
平成が終わり令和になりました。
大型連休を皆さまどのように過ごされましたか?

前回は骨転移について説明しました。今回は実際の症例です。

~症例~
35才 女性
乳癌、多発骨転移、多発肺転移
初診時の時点で骨転移による腰背部痛を認める
安静時疼痛NRS5
体動時の突出痛NRS8から9
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(使用薬剤)
フェントステープ4㎎ 1枚/日…オピオイド
デノタスチュアブル 1錠/日…ランマーク注射に伴うカルシウム低下の補正
マグミット330㎎ 2錠分2…下剤
オキノーム散5㎎ 疼痛時頓用…オピオイド
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上記内容で訪問診療を開始しました。
前回説明したランマーク注射を月に1回行っています。カルシウム低下の補正の為にデノタスチュアブルという薬を使用しています。

~デノタスチュアブル~
カルシウム、天然型ビタミンD、マグネシウムを含む錠剤です。
天然型ビタミンDは肝臓で代謝されたあと腎臓で活性型ビタミンDとなり小腸でのカルシウム吸収を促進します。

Q:安静時疼痛があるならオピオイドを増量しなくていいの?

その通りです。

ですがまず定期薬にロキソニン(NSAIDS)を組み込みました。ロキソニン60㎎3錠分3を開始しました。
過去の勉強部屋でもオピオイドとロキソニンやアセトアミノフェンの組み合わせについて説明しましたね。
ロキソニンを定期薬として開始したところ安静時疼痛はNRS2から3程度に軽減しました。
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フェントステープ4㎎
ロキソニン60㎎3錠分3
オキノーム散5㎎6P分3(食事30分前)
頓用使用のオキノーム散5㎎×2P
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次にご本人より頓用のオキノームを使用しても効果が無いと訴えがありました。
フェントステープ4㎎を使用しておりレスキューはオキノーム散5㎎です。
過去の勉強部屋で換算表を載せましたね、レスキュー量の目安に実は不足していました。
ちなみにフェントステープ4㎎はオキシコドン約80㎎に相当します。そのためレスキュー量は目安として15㎎になります。
また御本人は食事などで体を動かす時に疼痛が生じるという事でオキノーム散を食事30分前に定期投与として開始しました。オキノーム散は10㎎として使用するように変更しました。

上記内容に変更し疼痛はさらに軽減、食事も以前より摂取できるようになりました。
安静時の痛みは楽になった、でももう少し痛みを抑えたいと訴えがありました。
過去にオピオイド過量症状(傾眠、ふらつきなど)を起こした事もありオピオイドの増量に抵抗があるとのことです。
どうやら体動時の疼痛が増悪あり当時使用していたMSコンチンを自己判断で増量していた過去があるようです。
そこで上記処方に加えてセロクラール(イフェンプロジル)という鎮痛補助薬を追加しました。

“セロクラール20㎎6錠分3”
前回の勉強部屋でも鎮痛補助薬について少し説明しましたね。

~セロクラール(イフェンプロジル)~
脳循環・代謝改善薬です。脳梗塞後遺症、脳出血後遺症に伴うめまいの改善に対して使用する薬剤です。NMDA受容体拮抗薬の中に含まれています。NMDA受容体拮抗薬は痛みの伝達に関わっており、オピオイドの鎮痛耐性(初期に投与されていた薬物の量で得られていた鎮痛効果が減弱し同じ鎮痛効果を得る為により多くの量を必要とすること)に拮抗し鎮痛効果を強めます。
(臨床上の有用性は確立していません)

セロクラールを追加し体動時の疼痛は軽減しオキノーム散の使用量は増やすことなく落ち着きました。
肺転移による呼吸苦、咳が徐々に悪化してきました。
使用しているフェントステープとオキノーム散では症状軽減が困難な為、まずレスキュー製剤のオキノーム散をオプソ(モルヒネ)へ変更しました。
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フェントステープ4㎎
オプソ10㎎3P分3
ロキソニン60㎎3錠分3
セロクラール20㎎6錠分3
オプソ10㎎ 疼痛時・呼吸苦時頓用
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本来であればオキノーム散10㎎であれば換算表からはオプソ15㎎になります。ですが本症例は鎮痛補助薬とNSAIDSを併用かつレスキュー製剤の定期内服をすることで疼痛自体はかなり軽減していたのであえて少ない量で開始しました。
結果、疼痛と呼吸苦ともに軽減し外出もできるようになりました。

今回はここまでにしましょう。

 

 有名な5歳児 チコちゃんをご存知ですか??

某テレビ番組 「ボーっと生きてんじゃねーよ!」でおなじみの 「チコちゃんに叱られる!」が、期間限定のイベントを開催しました。

休日は、ボーっとしたい私ですが、チコちゃん キヨエちゃんファンと しては、是非とも等身大のチコちゃんに会わなければ・・・とさっそくお出かけしてきました。

東京駅は、常に人が混雑しているイメージですが、それ以上に混雑していたのが、イベント会場でした。私が行ったときは、多くの方が整理券を求めている状態。1時間に80名しか入れない状況でした。しかも、並んでいるのは、大人ばかり・・・・

5歳児に叱られたい大人が沢山いるのかな??と思う今日この頃でした。

(私はそうなのでしょう(*´▽`*))

 第30夜 癌の骨転移について

川口です。

桜が満開になっています!
私は毎朝、出勤前に腕立て伏せ、腹筋、背筋をしています。筋トレをしてから出勤すると不思議と日々の疲れをあまり感じないような気がします。

今回は癌の骨転移についてです。転移性骨腫瘍と呼ばれています。骨転移は進行癌の患者さんにおいて高頻度で認められます。原発性骨腫瘍(骨にある細胞が腫瘍化する)とは異なります。

Q:骨転移はどの癌で多いの?

肺癌、前立腺癌、乳癌、甲状腺癌などで多く認められますが他の部位の癌でも認められます。

Q:どこの骨に転移するの?

乳癌では胴体部の骨、頭蓋骨、手足の骨にも転移する事が多く、肺癌では骨盤、大腿骨、胸椎、腰椎などの中心部にある骨に転移する事が多いと言われています。つまり様々な部位に転移する恐れがあります。

Q:骨転移の症状は?

疼痛、骨折、神経障害、高カルシウム血症などです。
疼痛:癌の浸潤で骨が脆くなり微小骨折、腫瘍が骨の外に浸潤し骨膜上の痛覚神経を刺激・損傷、腫瘍による脊髄圧迫などが原因で生じます。
骨折:骨がもろくなり荷重に耐えられなくなると骨折に至る場合があります。
神経障害:特に背骨の周りには大事な神経が走っています。手、足が動かしづらい、麻痺につながることもあります。
高カルシウム血症:倦怠感、イライラ、眠気、食欲低下、便秘などが初期症状として挙げられます。程度が強くなると喉の渇き、吐き気、嘔吐、妄想、意識消失につながることがあります。
私も在宅で癌の患者さんを診ている際は血液検査でカルシウムの数値は定期的にチェックしています。

骨転移の治療は放射線治療、手術、薬物治療(抗がん剤、放射性医薬品を含む)などがあります。
在宅では消炎鎮痛剤、オピオイド、鎮痛補助薬など使用し疼痛緩和を行います。
安静時疼痛がある場合はオピオイド調整、食事などで体を動かす時に疼痛が出現する場合は食前に速効性オピオイド(レスキュー薬)を使用し対応します。

以前の勉強部屋で説明しましたが体動時の疼痛にあわせてオピオイドを増量すると過剰投与になるリスクがあり鎮痛補助薬を組み合わせる事があります。
鎮痛補助薬は抗うつ薬、抗けいれん薬、抗不整脈薬、NMDA受容体拮抗薬、ステロイド、ビスホスホネート薬などを使用します。

在宅では内服薬以外にビスホスホネート薬のゾレドロン酸(ゾメタ)、デノスマブ製剤(ランマーク)などの注射製剤を使用する事があります。
ビスホスホネート、デノスマブに関しては以前、骨粗鬆症の会で説明しましたのでそちらも御参照くださいね。
高カルシウム血症にも効果が期待できます。

ゾメタは3~4週毎に15分以上かけて点滴投与します。
ランマークは4週間毎に皮下注射します。
☆顎骨壊死という副作用予防の為にも口腔ケアが大切です☆

私は定期的に口腔内の観察含め歯科に診察をお願いしています。
ランマークの副作用で低カルシウム血症があります。その際は必要に応じてカルシウム製剤、ビタミンD製剤を投与します。

今回はここまでです。

在宅でゾメタ+生理食塩水を点滴している写真と研究会からの帰り道に撮影した夜桜です。

 品川区「しながわドリームジョブ」授業で青木ドクターが特別授業の講師を務めました

豊葉の杜学園で様々な分野で活躍している大人から、仕事について学ぶ特別授業「しながわドリームジョブ」が開かれました。

青木ドクターの特別授業の様子

医師の分野から、鳳優会の青木ドクターが講師を行いました。

「品川区公式チャンネル・しながわネットTV」にて授業の様子を見ることとができますのでご参考ください。
豊葉の杜学園の特別授業「ドリームジョブ」の様子

(動画に青木ドクターも登場しています)

 犬も高齢社会

我が家の愛犬 桃 が我が家にやってきたのはもう8年前です。
先日、健康診断に行くと 獣医さんから「小型犬で8歳ともなると、シニア期になります」と言われ、まだまだやんちゃな愛犬ですが、これから歳をとっていくのだなと改めて思いました。

今回は、近所のご長寿ワンコを紹介します。

ラブラドールレトリバーのオス バッキー君 今年の5月で17歳になります。
お顔周りは、白髪が多くなってきており 足腰は弱ってきているようですが、1日2回 1時間のお散歩大好き。

そして、メスの柴犬のゴンちゃん 12歳
ゴンちゃんもお散歩大好き。しかし、近寄ってくるワンコには吠えてしまいます・・・

そんなゴンちゃんが唯一大好きなワンコが、バッキ―です。

2ワンコがラブラブ過ぎて、我が家の愛犬は 2ワンコの間に入ることはできません。
なので、いつもオヤツを頂いて 満足しています (´▽`) 

 第29夜 緩和医療について〜オピオイドについて⑤〜

川口です。

寒い日が続きますね。往診車から降りて患者さん宅まで歩く時の防寒対策でヒートテックが手放せないですね。

今回はメサドン(商品名はメサペイン)というオピオイドについてです。
現在、実際にメサペインを使用していますが他の強オピオイドと比較して癌による神経障害性疼痛に効果があると実感しています。

Q:メサペインて何?

モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルなどの強オピオイドに含まれる薬剤です。侵害受容性疼痛(臓器や組織に損傷や炎症が起きて生じる痛み)、癌が神経に広がっていく事で生じる神経障害性疼痛があります。オピオイド鎮痛薬は侵害受容性疼痛に強力な効果がありますが、神経障害性疼痛にはあまり効果が期待できません。メサペインは神経障害性疼痛にも効果が期待できます。
~要注意~
強オピオイドに分類されますがモルヒネ、オキシコドン、フェンタニルで治療を行ったが効果が得られない場合に使用します。
過去の勉強部屋で説明したWHO除痛ラダーの第3段階のさらに上の第4段階として位置づけられます。
つまり他の強オピオイドからの切り替えになります!

Q:メサペインを使用する時の注意点は?

投与後少なくとも7日間は増量を行わないことです!
血中濃度が安定して完全な鎮痛効果が得られるまでには投与後少なくとも約7日間の日数が必要です。
メサペインの半減期は他のオピオイドと比較しても長く個人差が大きいです。
平均して30時間(短い人で7時間、長い人で65時間)となっています。
血中の半減期が長いため過剰投与にならないように慎重に増量する必要があります!
経口モルヒネ量60㎎/日未満のオピオイド鎮痛剤からの切り替えは推奨されていません。

Q:副作用は?

重大な副作用として不整脈(QT延長、心室頻拍など)、呼吸抑制などがあります。
その為、他の薬剤(副作用で上記不整脈があげられる)との併用には注意が必要です。
~他のオピオイドからの切り替えの目安~
モルヒネ経口60≦~≦160㎎/日・・・メサペイン15㎎/日(5㎎/回×3回)
モルヒネ経口160<~≦390㎎/日・・・メサペイン30㎎/日(10㎎/回×3回)
モルヒネ経口390<・・・メサペイン45㎎/日(15㎎/回×3回)
あくまで目安です!薬物動態に個人差があることより目安にしかなりません!
モルヒネ以外からの換算は以前に記載した箇所を参照してくださいね。
~切り替え方法~
強オピオイドからStop and Go、3日かけて1/3量ずつ変更する3-Day Switchがあります。
先行使用している強オピオイドが高容量の場合は3-Day Switchの方が安全かもしれません。
まだ使用可能となってからの期間が短く使用症例数も少ないので、あくまで安全かもしれないとしか言えません。

Q:レスキュー薬はどうするの?

メサペインはレスキュー薬として使用できません。切り替え前に使用していた強オピオイドの投与量、レスキュー量をもとに速放性オピオイド(オキノーム、オプソなど)を使用します。
強オピオイド(モルヒネ、オキシコドン)を使用していて1日量として例えばモルヒネなら60㎎を越して80㎎、100㎎と増量しても効果不十分かつ鎮痛補助薬(プレガバリンなど)を使用しても無効な場合、放射線治療などの非薬物治療も無効な場合はメサペイン導入を検討してもいいかもしれません。


~最後に~
メサペインはe-learningを受講した医師のみしか処方できません!

インフルエンザが流行しています。皆さん気をつけましょう!

今回の写真は癌の患者さんをお昼頃に診察で伺った際に頂いた手作りのお弁当です。