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 我が家の園芸療法

以前、仕事の関係で東京農業大学の浅野教授とお会いする機会があり、勉強会にも参加させていただいたことがある。浅野教授は園芸療法の研究者であり、21世紀はミリューセラピーの時代であるという。

ミリューとは、人を取り巻く空間であり、「生きられる風景」を構成する要素である。人は必ずしも明るい風景ばかりを好むわけではなく、生きられる風景はそれぞれに違う。癒しと緑の関係を探り、風景が人を包み込み癒す積極的な治療媒体として、大きな力をもつという。

 

ストレスの多い現代社会で、緑の空間に身を置くことで癒される。葉と葉の間から見える青い空が世界の大きさを感じさせてくれる。私たちも身近な生活の中で、風景とともに生きていることを感じることも多いです。

園芸療法は、作業によるリハビリテーションというだけでなく、緑の中に身を置くことにより、その葉の重なり合う音や、匂い、木漏れ日の眩しさなど五感を刺激する。そこに生命の息吹を感じ自らの生きる力を増幅させのである。
浅野教授いわく、公園や施設の庭造りの中で、「歩きやすい庭園を造るより、そこまで歩いてみたいという気持ちにさせる庭園を造りたい。身体の中から”歩こう””歩いてみたい”という気持ちになることがリハビリを効果的にさせる。」という言葉が忘れられない。

 

ということで・・・、私自身も自宅で野菜を育てています(プランター菜園!)。
今回は、ピーマンとなすの苗を近所の畑から分けてもらって、さっそく植え替えてみました。

栽培開始から約2週間、なんと”なす”の花が咲きました!!

さらに、その3日後にピーマンの小さな小さな実(!?)を発見。

 

 がぜん家族中が世話に力が入ってきました。娘は2日おきに米のとぎ汁を上げるようになり、インターネットで栽培方法の研究にも熱が入る始末。肥料を入れるタイミングは、支柱の位置はこれでいいのか、いちいち講釈してくれます。

「早く、食べたいね」「味噌で炒めようか」・・・。我が家の家族は、五感というより、”食欲”という欲求が刺激されっぱなしで、まだ見ぬ収穫物の大きさが頭の中で膨らむ一方です。

なるほど、生きる力が湧いてきているのは確かで、「これも園芸療法か・・・」。
植物の力は偉大です。

 

我が家の「なすぴー」は、今日も元気です。
実がなったら、またご報告できると思います(あまりに小さい実の場合は辞退いたします・・・)。

 トマト日記。

30歳になって1ヶ月ほどたちました。

節目なので何かはじめようと思い・・・・

まずは好き嫌いを直そうとキライな食べ物を食べ始めました・・(>_<)

私はトマトが大キライです。

なので、トマトを食べ始めてちょうど1ヶ月でもあります。

食わず嫌いなのかと思っていたのですが・・・

食べたらやっぱりおいしくなくて・・(T_T)

生トマトはやはり苦手なので、煮込んでみたり、いろいろ試行錯誤中です。

最近、リゾットを作ってみたら・・・

なかなかおいしくて、今一番お気に入りの食べ方です。

トマトに含まれるリコピンの効能とかあまり知らなかったのですが・・・・

美白効果もあるとか(^◇^)

30年間、おそらくほとんどリコピンを体内に取り入れていないうえに、

学生のころ太陽と仲良くなりすぎて、お肌はソバカスとシミでいっぱいです。

少しは効果があるのかと思い、まだおいしいとは思えてないのですが、

がんばって食べています・・

誰かおいしい食べ方を教えてください(- -)

美肌とトマトLOVEの日が来ることを願って今日もトマトを食べます(^-^)

 まぬけな医学生のころの小話

かつて僕は、トレンディードラマに登場するようなかっこいい医学生ではなかった。毎日同じようなTシャツにジーパン、頭ぼさぼさ、慢性的な寝不足で目蓋は半開き、かなりかっこ悪かったかもしれない。愛車はポエルシェ、ではなく、商店街のくじで当たった自転車、さらに、商店街に面する安アパートは荒れ放題、散乱した教科書の狭間には、液状化したバナナがトロピカルな腐臭を放ったりしていた。そんなさえない僕が、医学書に載っていない現象を大発見した。

 

 ある日、左の頬に、湿疹が出現。毛包一致性の丘疹、膿疱が多発、集簇し、一部痛みを伴う部分もあった。”尋常性座瘡”いわゆる、ニキビだ。青春のシンボルと診断、経過観察とし、自然軽快。しかし、数日して、反対の右側の頬に、同様の多発ニキビが出現した。これも、経過観察、軽快した。ところが、またまた数日して、また逆サイドの右頬に、同様のニキビが・・・!5回ほど同様の症状を繰り返すうちに、やや不安になってきた。

 

“ 本当にニキビなのであろうか?? ”

 

買ったばかりの皮膚科の教科書をずいぶんめくってもみたが、やはりニキビ以外の何物でもなさそうだった。日を追うごとに頬のニキビは、こめかみや顎まで進展、数日で改善するものの、1回1回の症状は悪化していった。

では、なぜ、左右の頬に交代性にニキビが発症するのであろうか?体質的な変化なら、左右同じように湿疹ができると教科書で読んだ。そこで、検討を重ねるうちにある事に気づいた。

右を向いて寝た日には右の頬に、左を向いて寝た日には左の頬にニキビが出来る傾向がある。すなわち、

 

“ 下にした側の頬にニキビが発生するのだ! ”

 

右を向いて寝た日には、ニキビの原因となる脂が右の顔に沈殿し、ニキビが発症するに違いない!逆も然り!さらに突っ込んで言えば、ニキビの発症分布には、重力が関係するのでは!皮膚科の授業で教授に質問してみようかな!

 

そんな大発見を彼女に得意げに話してみたところ、おもむろに彼女はため息をつき、枕カバーを洗濯し始めた。黒ずんだ枕はせっけんの香りのするそれに生まれ変わり、以後頬のニキビが出現することはなくなった・・・

             清潔は・・・大事だ・・・

 おじいちゃんとオセロ

先日祖父とオセロをしました。

 

祖父は、九州で大工をしていましたが、慢性腎不全や認知症が徐々に進行し、祖母1人での介護は困難となり、昨年東京に呼び寄せました。

 

大きなオセロ盤で、祖父がクロ、私がシロ。

しかし、なぜか途中で、祖父がシロで、私がクロになっていたり…。

将棋と間違えて、自分の番になると一つ置いて、いくつか持って行ってしまったり…。

自尊心を傷つけないように、かつ、軌道修正しつつと、孫としても何かと大変でした。

気を使いつつやっているうちに、私の負け…。

祖父はちょっぴり嬉しそうでした♪

デイサービスや施設などでも、ゲームや塗り絵をやっている光景を目にします。

実際に、認知症の予防として、アメリカ・アルツハイマー病協会では、「脳を守る10の方法」という指針が提唱されており、その中に「心のジョギングを」という項目があります。

いろいろなことに関心を持って脳を活き活きさせると脳細胞とそのつながりの余裕が生まれるので、読む・書く・ゲームをするなど新しいことを学ぶことが大事であるとされています。

ありのままを受け止めながら、新しいことで脳を活性化かせる。

毎日認知症患者と接している家族からすると、なかなかそのようなゆとりが持てないかもしれませんが、時々ゲームなど一緒にして、コミュニケーションを図ってみるのも良いかもしれません。

 

 『脳を守る10の方法』(アメリカ・アルツハイマー病協会)

 

1.頭が第一 ⇒ 健康は脳からです。

2.脳の健康は心臓から ⇒ 心臓に良いことは脳にも良い。

1.身体の値のチェックを ⇒ 体重・血圧・コレステロール・血糖をチェックして

               良くしよう。

2.脳に栄養を ⇒ 指導が少なく、ビタミンEなどの多い食品を摂ろう。

3.体を動かす ⇒ 身体の運動は血液の流れを良くし、脳細胞を刺激することにな

          る。1日30分歩くなど心と体を活発にしよう。

6.心のジョギングを ⇒ いろいろなことに関心を持って脳を活き活きさせると脳細胞とそのつながりの余裕が生まれるので、読む・書く・ゲームをするなど新しいことを学ぼう。

7.他人とのつながりを ⇒ 身体と心と社会の3つの要素を組み合わせた余暇活動は、認知症を防ぐ最も良い方法。

8.頭のケガをしない ⇒ 頭のケガをしないように注意しよう。

9.健康な習慣を ⇒ タバコをやめ、飲み過ぎないように注意しよう。

10.前向きに考え今日から始めよう ⇒ 明日のあなたを守るために、今日からできることをしよう。

 

 映画の中の神経疾患

- 毎回、映画の中の神経疾患について取り上げてみます -

まず第1回は映画「潜水服は蝶の夢を見る」(2007)です。

この映画は、自由奔放な雑誌ELLEの編集長ジャン=ドミニクが冒頭、病院のベッドの上で目覚めるシーンから始まります。周りの人が見え、言っていることは聞こえ理解できますが、体の自由が奪われ、声を出すこともできません。唯一できるのは左眼を動かすことと瞬きすることです(このあと右眼は閉眼できないため角膜を保護の目的で瞼を縫いつけられてしまいます)。そして言語療法士の訓練のもと、左眼だけで文字通りアイコンタクトで周囲の人たちとコミュニケーションをとっていき、周囲の人の協力で自分の現状を一冊の本にするというお話しです。ジャン=ドミニクは潜水服を着たような不自由な体ですが、自分の記憶と想像力で蝶のように飛びまわって楽しんで時間を過ごしていきます。

ところで、この主人公の病気は、脳血管障害による「locked-in症候群(閉じ込め症候群)」だと映画の冒頭で医師の説明があります。この症候群はPlum and Posner(1966)により始めて記載された症候群であり、大脳と脊髄をつなぐ脳幹部の、なかでも橋の腹側(前側)に脳梗塞などの脳血管障害(そのほか外傷や腫瘍、脳炎でも起きる可能性があり)が起きたときに現れる稀な症状です。手足が動かないため、一見意識がないように周りからは思われますが、本人は意識が清明で、ただ単にそれを伝える方法がない状態なのです。橋の背側(後ろ側)が障害されていないため、他の随意運動をする神経が障害されていても、眼や瞼を動かす機能が残っている場合があり、この映画でも瞼を閉じることで他人とのコミュニケーションがとれています。

この主人公は、現代版「モンテクリスト伯」を書く約束を出版社としている最中に脳卒中発作を起こしましたが、結局その出版社からはこの映画の原作「潜水服は蝶の夢を見る」を出版することになりました。映画の途中で主人公がA・デュマの著書「モンテクリスト伯」を手に入れ、その開いたページにはノワルティ・ドゥ・ヴィルフォールという人物のことが挿絵入りで記載されています。この人物は病気によって手足の自由が奪われ、自分の意思を伝える手段として瞬きや眼を上下に動かして他人とのコミュニケーションを行います。そうですこの症状はまさにlocked-in症候群なのです。そのためlocked-in症候群は別名「モンテクリスト伯症候群」とも呼ばれています。この著書は医学的に報告される100年も以前に書かれたものなので、著者の観察力のすばらしさが伺われます。多分この偶然は映画の演出ではないかと思われます。