在宅医療を通して

研修医の松本と申します。

1月の1ヶ月間、荏原ホームケアクリニックで研修をさせて頂きました。

普段は大学病院の患者さんの診療にあたっておりますが、

在宅で患者さんを診る、という体験をさせて頂き、

大学病院を退院された後の患者さんの姿をみているようでとても貴重な毎日でした。

 

大学病院で患者さんが退院されるとき、普段は病衣を着て

病室のベッドで過ごされている方が、

いつもの服に着替えてしゃきっと帰って行かれる姿が、私はとても好きです。

しかし、帰って行かれた後、実際どんなふうに生活されているかを

拝見する機会はありませんでした。

 

今回の研修で在宅医療を経験し、自宅での生活の大変さ、

その中でも自宅にいられることの自由さと安心感、

ご家族の御苦労や工夫や愛情を感じて、

大学病院を退院された患者さんの生活が垣間見えたように思います。

 

ここが医療の原点だと感じました。

 

私の恩師が「知識・技術・心の3つがそろっていなければ医師じゃない」

と言ったのを思い出します。

在宅医療の現場では、まさにこの3つを兼ね備えていなければ成り立たないんだな、

と痛感しました。

どれもまだまだ未熟な私なので、修行あるのみです。

 

私はノーマンロックウェルのDoctor and Dollという絵が好きです。

女の子が連れてきた人形の診察をする医師の絵です。

実際の医療現場でこんなことはなかなかないですが、

最先端の医療×こういうあたたかさが根底にあればいいな、と思います。

 

クリニックの皆様、大変お世話になりました。ありがとうございました。