パーキンソン病 -その2

こんにちは!あすかホームケアクリニックの黒木です。

今日は前回に続き「パーキンソン病その2」についてです。
パーキンソン病とはどのような病気でしょうか?
パーキンソン病とは、簡単にいうと脳の中の黒質と呼ばれる場所に存在するドパミン神経が脱落してなくなっていってしまう病気で進行性の病気です。

自然治癒はありませんが、内服薬などの治療が奏功します。ごく一部では遺伝子の変異が指摘されていますが通常は特発性(原因不明)で加齢に伴って発症しやすくなります。

黒質のドパミン神経は脳の中の線条体と呼ばれる場所にドパミンを供給する役割を持っています。パーキンソン病の患者さんではドパミン神経の脱落のために線条体のドパミンが足りない状態になっています。このため、パーキンソン病の症状の本態はドパミン欠乏症状と考えられています。

具体的な診断基準としては、

  1. 手足のふるえ(安静時振戦)、身体の固さ(固縮)、動かしにくさ(無動)、バランスが悪く転倒しやすくなる(姿勢反射障害)などのパーキンソニズムがある(緩徐進行性・片側発症が基本)
  2. 脳CT又はMRIに特異的異常がない(他のパーキンソン症候群との鑑別)
  3. パーキンソニズムを起こす薬物・毒物への曝露がない
  4. 抗パーキンソン病薬にてパーキンソニズムに改善がみられる
    があり、以上4項目を満たした場合,パーキンソン病と診断されます(Definite)

※1,2,3は満たすが,薬物反応を未検討の症例は,パーキンソン病疑い症例となります(Probable)

パーキンソン病の症状

また、パーキンソン病の患者さんではパーキンソン病の患者さんでは、MIBGという物質の心筋への取り込みが低下していることが知られており、補助診断としてその様子を観察します。また、脳内の黒質線条体ドパミントランスポーターを画像化するDATスキャンという検査もあります。

DATスキャンという検査

MIBG心筋シンチグラフィー(左は正常、右は集積低下しているパーキンソン病患者さんのもの)

MIBG心筋シンチグラフィー

DATスキャン(右は正常、左は線条体での集積低下が見られるパーキンソン病患者さんのもの)

パーキンソン病の症状の程度をあらわすものとして、ホーン&ヤール重症度と生活機能障害度という分類が用いられます。難病医療費助成制度による支援の段階はこれらの分類によって決められています。

ホーン&ヤール重症度は5段階

1度 障害は体の片側のみで、日常生活への影響はほとんどない
2度 障害が体の両側にみられるが、日常生活に介助は不要
3度 明らかな歩行障害が現れ、バランスを崩して転倒しやすくなる。何とか介助なしで日常生活は可能
4度 日常生活の動作が自力では困難で、その多くに介助が必要
5度 車椅子またはベッドで寝たきりで、日常生活では全介助が必要

生活機能障害度は3段階

1度 日常生活、通院にほとんど介助を要しない
2度 日常生活、通院に部分的介助を要する
3度 日常生活に全面的介助を要し、独立では歩行起立不能

その他、神経難病と言われる鑑別疾患としては多系統萎縮症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、前頭側頭型認知症などがあります。
これらは一見よく似た症状ですが、異なる疾患になります。

あすかホームケアクリニックではこのような神経難病の臨床調査個人票も新規申請・更新とも対応しています。病気の鑑別や確定診断のお手伝い(画像検査のためには病院受診が必要になります)なども可能です。気になることがあればいつでもご相談ください!

次回は「パーキンソン病その3」パーキンソン病の合併症や治療などについてのお話になります。それではまた!!
・・・続く・・・

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院長 黒木卓馬