BIPAPとは
- NPPVやNIPPVとも呼ばれマスクなどを使用する人工呼吸器です。
適応
- 基本的に炭酸ガス(CO2)が溜まる呼吸不全(U型呼吸不全)に適応があります。
- 呼吸する力が弱い呼吸不全(呼吸するための筋肉や神経に問題が起こり呼吸しづらくなる場合)
脊髄損傷、筋ジストロフィー、重症筋無力症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)ギラン・バレー症候群 など
- 呼吸に大きな力を要する呼吸不全(酸素を取り込む肺自体に問題が起こり呼吸しづらくなる場合)
肺気腫、塵肺・珪肺、肺結核後遺症、肺炎、肺水腫など
(睡眠時無呼吸症候群では気道を風圧で広げるだけでよいので、同じ鼻マスクでもNIPPVではなくCPAP療法を行います。)
長所・短所
- 長所
- 気管内挿管をしなくて良い。気管内挿管の手間や、リスクも少なく、直ぐに人工換気が出来る。
- 食事・会話が出来る。意思の疎通も出来、精神面、栄養面でも優れている。
- 鎮静剤の量が減らせる。意思状態の把握が簡単。薬剤の副作用がない。
- 感染の機会が少ない。気管内に異物が無いので、感染の機会は減る。(痰が自分で出せれば)。
- ON―OFFが簡単。試しに外してみることが可能。換気を休んで、水を飲むなども可能。
- 短所
- 気道の確保が出来ていない。意識が良くても、高齢者では誤嚥に注意が必要。
- 高い気道内圧が掛けられない。
- 患者の協力が必要。
- 気道内の痰を直接吸引出来ない(気管内挿管になる最も多い原因)。
- マスクの圧迫による発赤や潰瘍の発生。
- 顔面の変形や、チューブなどでマスクがあわない。
往診で行なうこと
- 全身状態の観察を行い、原疾患の悪化予防や、呼吸器感染症の合併予防、治療を行っていきます。
- NPPV装着による主なトラブルは
(1)マスクに不快感、圧迫感、(2)皮膚の発赤、鼻柱のびらんや潰瘍、(3)口・鼻腔の乾燥 (4)眼への刺激、(5)鼻づまり、(6)腹部膨張、呑気、(7)エアリーク、(8)自然気胸などがみられます。往診によって対処可能な場合が多いですが、治療が在宅で困難な場合は病院へ紹介いたします。