第2夜 夏の敵 脱水 ➁

荏原ホームケアクリニック 川口です。

厳しい残暑が続いていますが 勉強部屋第2夜のテーマは第1夜に引き続き

「夏の敵!脱水」です。
今回は、現場の看護師さんや介護スタッフさんむけに少し専門的にいきます。
患者さんにはちょっと難しいかも?

「脱水に気を付けよう」と一言で言っても人間の体内にとって必要な水分量というものがあります。
そこで皆さんがまず疑問に思うこと。

Q一日に必要な水分量とは一体どれぐらいの量なの??

  • それは環境、温度、病気(心不全、腎不全などの内科疾患)、現在の症状によって異なります。
    平均すると下記のようになります。

    • 25歳~55歳 …  35ml/Kg/日
    • 55歳~65歳 …  30ml/Kg/日
    • 65歳~    … 25ml/Kg/日

水分必要量=1ml × エネルギー必要量(kcal)
上記以外でも尿量、汗、代謝水(体が作り上げる水分)などの量を使う計算式など
様々な方法はありますが、年齢別の計算式が目安としては手軽でしょう。

計算式を利用すると1日に必要な水分量が分かります。
ただやみ雲に水を飲め、と言われてもどれだけ飲めばいいのか分からないと
億劫になってしまうのも仕方がないこと。
数字で認識することで最低これだけ飲めばいいんだなという事が理解出来るので
介護者の方が患者さんに対して水分の大切さについてお話しし易くもなりますし
患者さん自身の自己意識にも繋がりそれが予防の一歩に繋がることもあるでしょう。

次に、水分量と聞いて皆さんがイメージするのは「飲水」だと思いますが
必要な水分量は水やお茶が全てという訳ではありません。
食事の中にも水分は含まれているのです。
ここで記載している「必要な水分量」というのは食事の中に含まれる
水分も合わせた量を指します。
ここで必ず皆さんが疑問に思うこと、

Q食事の中にはどれくらいの水分が入っているの?

ということではないでしょうか?

  • 勿論、食事形態によっても違います。お粥は水分を多く含んでいますよね?
    調理方法によって食事の中の水分が異なります。

ではどうすればいいのだろう?
そんな時に下記の計算式を参考にして下さい。

食事に含まれる水分量 = 食事の総重量(g) × 0.6

この計算式はあくまで推測量であり正確なものではありませんが
高齢者は食事を全量食べると平均して約600ml程度の水分を摂取していると言われています。

上記の内容から考えると、食事を全量食べて、食事時にお茶を1杯飲む
薬の時に水を飲む、おやつの時に水気のある物を食べる、またはお茶菓子と一緒にお茶を飲む
というようにして行くと、一日の必要水分量は自然に摂取できているでしょう。

在宅医療の現場では、日によって思うように食事摂取できない患者さん
心不全の為に体がむくんでいる患者さん、下痢が続いている患者さん、腎不全で尿量が少ない患者さん、などがいます。
その場合は医師の診察のもとに「この位は飲んでくださいね」といった具体的な指示を出すことになります。
また在宅では無理に飲水させて誤嚥に繋がる患者さんが多いのも事実ですので
必ず医師の指示に従うように注意して下さい。

次回は第3夜「熱がこもるって何?」を予定しています。

お楽しみに!