第22夜 在宅酸素療法について ②

川口です。
すっかり暖かくなり春ですね。今回は前回に続き在宅酸素療法についてです。
在宅医療の現場でよく質問される事を詳しく説明します。

Q:酸素流量って何?

機械、酸素ボンベから出る単位時間あたりの酸素量の事です。
〇〇L/分という表記をします。我々は状態を見ながら〇〇Lと指示を出します。
例えば成人の場合、一回換気量(一回の呼吸で肺に出入りするガスの量)を500mlとします。吸気時間(吸気に要する時間)を1秒とすると1秒で500ml吸うので1分で30Lとなります。
前回、一つの機械で最大7Lまで設定できると説明しましたね。
成人の場合の流量を考えると足りませんね。つまり不足分は室内の空気を吸って補っています。
☆呼吸パターンが変化すると吸入酸素濃度は変わります。つまり鼻カニュラ、酸素マスクは比較的規則正しい呼吸パターンの方に用いられます。

Q:酸素ボンベはいつ使うの?

屋外・外出時です。街中でも見かける事がありますね。また停電時や災害時などの緊急時にも使用します。

Q:酸素ボンベはどのようにして使うの?

流量調整器がバルブについています。ボンベの酸素出口接続部に鼻カニュラチューブを接続して調整ハンドルを回して指示された流量に設定し酸素を吸入する事ができます。

~豆知識~
酸素ボンベは容量によってS、M、Lがあります。
Sは1.1L、Mは2.0L、Lは2.8Lとなっています。つまり使用する酸素流量によって使用時間は異なります。
目安として1L/分でSは2時間45分、Mは5時間、Lは7時間となります。

~豆知識~
呼吸同調器という呼吸に合わせて酸素を吸う時だけボンベから酸素を供給できる機械を使うと酸素を節約できるため酸素ボンベの使用時間を2~3倍に増やす事が出来ます。

ただし同調器を使用する際は医師に相談してからにしましょう。

Q:どのようにして導入するの?

まずは医師の診察が必要です。パルスオキシメーターによる数値(SpO2)、動脈血酸素分圧(PaO2)、自覚症状など総合的にみて判断します。
在宅酸素の導入が決まると次は酸素流量、吸入時間、使用機器の選択、酸素ボンベの有無を検討します。次に導入日が決まりましたら酸素機械の業者さんが自宅へ伺って操作方法など指導してくれます。
在宅酸素は定期的な外来受診か往診、または訪問診療で指導管理を行います。

今回はここまでです。
お花見のシーズンも終わり新シーズンですね。